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* 詩 *
・ あめのおと (霖)
・ 水色のカサ (久遠)
・ かえる (侑)
・ 無題 (雲雀)
・ 無題 (立芳)
・ 追憶の雨 (黒猫)
・ 癒しの雨 (朔晴)
・ ○月×日☂ (最中)
・ 滴 (黒胡椒)
・ あじさい (菊桃)
* 短編小説 *
・ 雨の日には・・・ (雫)
『 あめのおと 』
霖
ぽつぽつぽつ
あめがふりだした
いけにちいさなわができる
ざあざあざあ
あめがはげしくふる
じめんにもちいさなわができる
いつになればやむのかな
わたしはひとりまっている
『 水色のカサ 』
家を出るとき
女の子の手には新しい水色のカサ
うれしそうに雨の中かけだした。
家に帰ったとき
女の子の手にはカサはありません。
カサはどこにいったのでしょう
空は水色でいっぱいです。
『 かえる 』
侑
かえるが鳴いています
ゲコゲコゲコって鳴いています
どしゃぶりの雨に打たれて
鳴いているのか
泣いているのか
楽しくても悲しくても大きな声で
叫びます
鳴くしかないのです
それが彼らの全てなのだから
『 無題 』
雲雀
僕が泣くと
空はどうして
泣くの
僕が笑うと
空はどうして
笑うの
ずっと
僕のことを
見ているんだね。
『 無題 』
立芳
いたずらな風が部屋の中にまよい込み
読みかけの本のページをペラペラと
めくって遊んでいる朝。
「行ってきます」
扉を開き、一歩外へと踏み出す
ポタリー・・・
冷たい雫が一つ、空から舞い降り肩へと落ちた。
「今日はカサを持って行かなきゃ。」
新しく買った藤色のカサ
空から見たらどんなふうにみえるのかな?
『 雨の日には・・・ 』
六月、ジメジメとした空気が鬱陶しい。
これだから梅雨は嫌いなのよ。
「むぅ・・・」
わたしは窓の前で体育座りをして、空を見つめながら呟く。
しとしと、しとしと・・・。
雨はまだまだ止みそうに無い。
雨止んでよ。
お願いします!
神様、仏様、閻魔様ぁ!!
・・・あれ、閻魔様は違うか。
イエス様?
なんて心の中でぐだぐだ考えていると、ソファーに寝転がってテレビを見ている貴方が、
「しょうがねぇよ、降っちまったもんは。なっ?」
と、わたしを慰めてくれる。
わたしの方を見ずに言う所が貴方らしい。
あー、ちょっと嬉しいかも・・・って流されてる、わたし!
「だって、久しぶりのデートだったんだよ?」
忙しい貴方と全然休みが合わなくて・・・。
二ヶ月ぶりのデート、のはずが。
雨のせいで中止。
「遊園地、行きたかったなぁ。・・・雨のばか」
そんな事言ったって、雨が止むはず無いんだけど。
雨に文句を言うわたしを見て、ふっ、と笑う貴方。
「何よ」と上目遣いで睨んでみるけど効果なし、さらに笑われた。
もう知らないっ。
「そりゃあ、俺だってそうだけどさ。今日は家でゆっくりするってのもいいと思うぜ?」
「・・・!?」
ふてたわたしに気づいた貴方はわたしを後ろからぎゅっ、と抱きしめる。
わたしって単純だよなぁ。
さっきまで雨の日が嫌だったのに、もう雨の日が好きになってる。
もっと、もっと、もっと。
永遠に、雨よ降れ。
私は美術館の喫茶店で、月光を頼りに泣いている。心細くて誰かに手を伸ばす…。その人に触れたくて。 その人は、喫茶店から見える広い庭に佇む。
私の泣き顔を優しい声で温めて……
「Yおいで。ここにおいで。何を泣いてるんだ。俺はずっとここに居て、ずっと微笑んでるよ。」
そう呟くが、月光が眩しくて顔の輪郭も、手のひらも、分からない。
その時、私は「何また寝てるんだ。」という担任の先生の声で目を覚ました。高二の秋。授業は佳境に入ってるのに、私は何度か同じ夢を見ては泣きたいような情けない気持ちで目を覚ます。ふと気が付くと、隣の空席をぼんやり見ている 私は、放課後、その夢の意味が知りたくて、一人で美術館の喫茶店を訪れた。まずは紅茶を頼むと、しみじみ庭を観察した。庭では何やら書類の束を抱えた女性が恋人らしき男性と楽しそうに話している。
「お待たせしました。レモンティです。」
冴えない定員が紅茶を無造作にテーブルに置いた。
紅茶に二杯砂糖を入れてくるくるかき混ぜる。
ざらざらした、砂糖の甘ったるい感覚が舌いっぱいに広がる。
開放してある窓から庭が見え、赤いハナミズキの葉がひとひら散った。
瞬間。女性の書類が北風に舞った。一緒に居た男性が路上で書類を拾い集める 私は、その光景が、彼女の眠っていた記憶を脅かした。
………あの時。灰色の車がTに迫って来ていたのではないか。
私は、ふとTという頭文字を思い出した。私の尊敬する友達の名を…。
二人で、良く、この場所で紅茶を飲んだ。そして、最近同じような体験をした彼が車道に、私の小説を拾いに行って…。
その瞬間はどうしても思い出すことはできない。思い出そうとすると苦しさで息が止まってしまう…。
私は、その夜、夢の続きを見ていた。
私は、なぜか喪服を着ていて、誰かと紅茶を飲んでいる。ティカップに映る、
情けない顔の自分を見た。只、ざらざらな
砂糖の時間(トキ)だけが、二人の扉を開ける。
懐かしい人に出会える
予感がする。
私は、ハッと目を覚まし夜中だというのに美術館の庭まで急ぎ足で歩いた。月灯りにゆらゆら佇む人影Tさんの声が広い庭の暗闇から聞こえてくる。
「もう、泣かないで。これあげるから。」
と紅茶の缶を私に投げた。 二人で、飲んだ紅茶は、なにもかもさらさらとした砂糖の時間だった。
「近くに居るのね…。」
私は、抱きつこうとしたがその手は空(くう)を掴むばかりで涙が止まらなくなるそうなの。そうだったの。 愛する彼の最後の場面を思い出せない事は幸せなのかもしれない。
私は、時々彼の好きな花を買っては、彼の空席を花で埋めている。
美しい思い出と共に…
おしまい