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*  詩  *

        春  (侑)

        雨の日  (侑)

        look for ・・・  (久遠)

        無題  (久遠)

        物語  (立芳)

        君と僕  (雲雀)

        女の子  (霖)

        サクラの木  (霖)

        お姫様と少女  (雫)

        深夜  (黒猫)

        道  (黒猫)

        カタツムリ  (朔晴)


 

 

 

 


『 春 』
          侑

深い山奥のあたたかい土の中から
よいしょと小さな草の赤ちゃんが出てきました
 
まだひとつの汚れも知らないきれいな緑色
 
山の麓にひっそりとただずむ桜の木の枝に
小さな花が咲きました
 
まだひとつの悲しみも知らないきれいなピンク色
 
誰も顧みることのない古いポストの横に
小さなタンポポ達が咲きました
 
まだひとつの孤独も知らないきれいな黄色
 
やがて草の赤ちゃんは自分の葉が虫に食べられて
醜く歪んだ様を見て
 
桜の花はそのうち散ってしまう自分の運命を知り
 
タンポポ達は誰にも気付かれない孤独を知るでしょう
 
そして
 
それでも笑って生きる強さを身につけていくのでしょう



『 雨の日 』
          侑
雨の日はキライ
靴の中までも湿って気持ちが悪いから
 
雨の日はキライ
傘をさしてもカバンや肩が濡れるから
 
雨の日はキライ
アスファルトに雨の雫が落ちて
いやな匂いがするから
 
雨の日はキライ キライ キライ キライ
 
でも我慢する
我慢するから
もう困らせたりしないから
 
どうか行かないで
私をおいていかないで
神様つれていかないで
 
ほら
厚い雲の隙間から光が漏れてきた
ねえ
きれいだよ
 
ねえ



『 look for … 』
          久遠
手のひらに一つ ビー玉。
コロコロ落ちて どこに行った
探しても 探しても 見つからないビー玉。
本当は 落ちてなんていないのです。



『 無題 』
          久遠
荒れた野に 一本 キレイな花がありました
季節は廻って 花は 枯れました
枯れた花のまわりには 
今 あざやかな花が地面を
おおいつくしているのです
荒れた野は もうどこにもありません



『 物語 』
          立芳
白い花びらが私たちの別れを告げた
「心はずっと共にあるよ」
お互いの姿が見えなくなるまで
手を振った
 
時は流れ―…
桃色の風がほほをなでるとき
私たちは別々の道へと向かっていく
でも
私たちの絆の物語は途切れることなく
永遠につむがれていく



『 君と僕 』
          雲雀
微かに香る
桜の甘い香りに
包まれる
君と僕
君は夢を追い掛け
僕の傍からいなくなる
振り返るなと言ったのに
君は何度も何度も
振り返り 微笑う
寂しそうに
儚げに
ひらひらと舞い散る桜の
花びらの中で
僕は
ただ、ただ
君の背中を見つめている



『 女の子 』
          霖
小さな女の子
とことこ歩いています
おでかけかな?
小さなポシェットさげて
とことこ歩いています
おつかいかな?
うれしそうな顔で
とことこ歩いています
 


『 サクラの木 』
   霖
サクラの木
それは出会いと別れの木
 
別れのとき
サクラはつぼみをふくらませ
別れる者をはげまします
 
出会いのとき
サクラは花をきれいに咲かせ
出会った者たちを祝うのです
 
出会いと別れはサクラと同じ
別れの後は出会いが待っています
 
 
 
『 お姫様と少女 』
          雫
とある王国のお城にはお姫様がいた
お姫様はとってもお金持ち
綺麗なドレスを着て
綺麗な靴を履いて
綺麗な宝石を身につけたお姫様
だけど、お姫様は笑わない
お姫様は窓の外を見つめて
ため息をつく
 
窓の外にはお姫様と同じ年くらいの女の子がいた
少女はとても貧しかった
継ぎはぎだらけのワンピースを着て
ぼろぼろのサンダルを履いて
ビーズで作ったネックレスをした少女
だけど、少女は笑っている
少女はお城を見つめて
うらやましそうな顔をする
 
少女はお姫様に憧れ、お姫様は少女に憧れる


『 深夜 』
          黒猫
今日もテレビに砂嵐が舞い始め
 
やがて夜空が窓に近づいて来る
 
ふと、気付くと窓の向こう側には
月と星が舞い
手を伸ばすとつかめてしまう距離に
 
それでも、手を伸ばそうとはしない
 
果てしなく続く夜空を見て涙を流し
テレビを見つめ、ため息をつく
 
辺りに音はほとんどなく
テレビからかすかに聞こえる砂嵐の音だけ
 
ただ、その音だけ
 
その音すら消え入ってしまいそう
 
窓の外に広がる星空を見つめ
今日もうつらうつらと瞼を閉じる
 
そして瞼を開く頃には・・・
 
窓から陽の光が差し込み
テレビからはまた音が聞こえる



『 道 』
          黒猫
矢印なんてない
地図もない
看板もない
  道しるべなんか一つもない
 
それは
  いろんなヒトに会ったり
  苦しんだり
  恋したり
  楽しかったり
  怒ったり
  泣いたり
  
迷路のような
   不思議な道
 
その道で
  休むのも休まないのもあなたの自由
  1人でも… 
  誰かと一緒でもいい
 
でも一つだけ
  
  辛くても悲しくても
  道から脱線しないで
 
まっすぐ
ゆっくりでいいから
立止まってもいいから
 
  一歩一歩前へ
 
 
 
『 カタツムリ 』
          朔晴
ゆっくり ゆっくり
進んでいる
ほんの僅かだけれど
前へ また 前へ
進んでいる
 
一番動きやすいときは
穏やかな雨の日
風の強いときは
葉や茎にしがみつき
痛いほどに叩き付ける豪雨のときは
家の中で一休み
 
そして また進みだす
 
のんびり のんびり
進みだす
ちょっとずつ
前へ 前へ
進みだす
 
 
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